平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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島田荘司・綾辻行人『本格ミステリー館にて』(森田塾出版)

本格ミステリー館にて

本格ミステリー館にて

占星術殺人事件』で本格ミステリファンの度肝を抜き、ただひたすらに本格ミステリという荒野を切り開いた島田荘司と、『十角館の殺人』で新本格の祖となった綾辻行人が、本格ミステリについて語り明かした1冊。1992年発表。



そういえば読んでいなかったな、という一冊。対談を読んでいると、一部評論家による「人間を書けていない」というお決まりの文句に対してこれでもかとばかりに反論しているところが、今読むと結構笑える。島田荘司ってそこまで攻撃されていたっけ? うーん、思い出せない。島田荘司って、気に入らない相手はとことん叩きのめそうという性格のように思えるし、こうと思ったら周囲の意見に耳を貸さず突っ走るところがあるように思えるので、読んでいてもその攻撃的な性格ばかりが前面に出てきてしまって、素直に頷くことができないんだよな、うん。

執筆当時は前衛的な意見だったかもしれないが、今読むと古くさく見えてしまうのは仕方のないところ。既に本格ミステリというジャンルが拡散してしまい、本格ミステリの王道を突っ走る作家はいなくなり、それぞれが自分の道を独立独歩で進んでいる現在においては、読むほどの本じゃなかったな。ま、古いだろうと思いつつ、読んでみたんだが。