- 作者: 小島正樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/11/06
- メディア: 新書
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最後のどんでん返しまで、目が離せないジェットコースター新感覚ミステリー。(粗筋紹介より引用)
2009年書き下ろし。
聞いたことのない作者だったが、調べてみると原書房のミステリーリーグで『十三回忌』という作品を2008年に書いていた。単行本デビューは島田荘司との共著で2005年に出した『天に還る舟』(南雲堂SSKノベルズ)らしい。
現代を舞台としながら、タイトルに"武家屋敷"という胡散臭い名前が付いているとこに興味をもって読んでみたのだが、終わってみるとなんだかなー、という印象。
大きな謎→あっという間に解決→また不思議な謎→すぐに解決→また不可解な謎→早速解決→……の繰り返し。このトリック1本だけでも十分に長編が作れるだろうと思うような謎と推理がこれでもかとばかりに叩きつけられる。勿体ないというか、ためがないというか。プロレスにたとえると、メジャー団体のレスラーがフィニッシュとして使っているような大技の数々を、弱小インディー団体のレスラーがゴング開始から使いまくるけれど、そこに至るまでの過程も説得力もないから相手レスラーに全く効かず、ただ大技のコピーを並べて見せているだけの試合、みたいなイメージである。この作品のトリックはたぶんオリジナルだろうから、ちょっと酷な書き方かもしれないが。
この作者が何をやりたいのかはよく分からないけれど、島田荘司みたいな本格ミステリを書きたいのだろうか。それだったら、せめて解決に至るまでのカタルシスというものをもう一度見直した方がいいと思う。トリックの品評会を見せられるだけの長編なんて、読みたくない。少なくとも私は。