- 作者: 歌野晶午
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/12
- メディア: 新書
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茫然自失のラストまでページをめくる手がとまらない、歌野本格の粋を心して噛み締めよ!(粗筋紹介より引用)
「Q1 次は誰を殺しますか?」「Q2 推理ゲームの夜は更けて」「Q3 生首に聞いてみる?」「Q4 ホーチミン―浜名湖五千キロの壁」「Q5 求道者の密室」「Q6 究極の犯人あてはこのあとすぐ」「密室でなく、アリバイでもなく」「Q8 誰が彼女を殺し(救え)ますか?」を収録。
リアル推理ゲームを出題する犯人、そして解く4人。5人が次々に問題を出題する。一つ一つをみたら、バカミスでも使わないよ、というようなトリックもあるが、推理ゲームとして用いられる分にはそれもありかな、と思ってしまう。考える方も考える方だが、それを8つも並べてしまうというのも凄いといえば凄い。立て続けに出題されれば、馬鹿馬鹿しいことでも納得してしまうということだ。もちろん、それを成立させてしまう歌野晶午の巧さというものもあるのだが。
本格ミステリ=ゲーム小説と考える人から見たら、喜び震えるんじゃないかな。一応フェアに出題されているし、トリックの方も可能。各章のタイトルが既存ミステリをもじっているというのも、推理ゲームらしい趣向である。最終章の謎明かしもうまい。各章で生じた疑問を忘れてしまったところに、不意に答えが投げつけられるのだからビックリする。ただ、最後はない方がよかったんじゃないかと思ってしまう。
途中でも書いたけれど、ゲームとして楽しむ分には凄く面白い。人間ドラマを期待する人には、全くお勧めできないが。
実際に考えたトリックを用いて殺人を犯し、それをゲームとして出題する。確かに今の時代なら、こんな事を考える犯人がいても、おかしくない。恐ろしい時代だね。
どうでもいいが、タイトルの意味がわからないな。なんで「王手飛車取り」なんだろう。