平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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久住四季『トリックスターズL』(メディアワークス 電撃文庫)

トリックスターズL (電撃文庫 (1174))

トリックスターズL (電撃文庫 (1174))

その怪事件は、新緑芽吹く初夏、人里離れた魔学部付属研究所にて幕を開けた。

車椅子の“五番目”の魔術師が主催する魔術実験に招かれた周たちは、あり得ないはずの殺人現場に遭遇する。

――密室と化した実験場にて繰り返される惨劇。外からの侵入を寄せ付けないこの研究所に置いて、考え得る犯人は内部のものしかいない。それはまさに、“嵐の山荘”ともいうべき状況であった。

美しき女魔術師が舞台を去り、幕引きは周の手へ委ねられる。『――犯人は詐欺師(トリックスター)だ』という彼女の言葉を頼りに、周が辿り着いた驚愕の事実とは!?

魔術師と“L”の物語、登場!(粗筋紹介より引用)

推理小説(ミステリ)(かたど)った現代の魔術師の物語”『トリックスターズ』の続編。



前作が好評だったのか、続編が登場。続編を作りやすい設定とはいえ、一応ミステリ縛りもあることから、結構難しいかと思っていたが、その辺は軽々とクリアしている模様。今回は密室が登場するが、魔術師が絡む以上、その解決は一筋縄ではいかない。もっとも、気付いてしまえば簡単な謎なのだが、舞台設定がいい目くらましになっている。やはりこのシリーズは、設定の勝利だと言いたくなる。これでストーリーの面白さが備われば、もっと注目されると思う。できれば「推理小説(かたど)る」のではなく、「推理小説でもある魔術師の物語」を産み出してほしい。

作品の性格上、主人公やその他の登場人物の描写が少し物足りないのは仕方がないところではある。そろそろ、例の縛りを解いた方がいいのではないだろうか。今の縛りも読んでいて面白いと言えば面白いのだが、このネタを引っ張るのはそろそろ限界である。