平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

控訴、上告したのだろうか

 無期懲役がらみでわからないのは以下。自分で聞けよと言われそうだが(苦笑)。
 原田義人被告。伊勢新聞にも結果が出ないことからすると、控訴していないと思われるのだが。津地裁だと、中山裕二被告も控訴したと思われるが不明。
 池田徳信被告、藤長稜平被告。多分上告していると思うけれど。
 武田清美被告。多分控訴していないと思うけれど。
 佐賀慶太郎被告。なぜ有期懲役だったのか、いまだにわからない。
 他もいるけれど、とりあえずまあいいや。篠田卓良被告の上告棄却は確認しました。元少女被告の上告も確認しました。

明けましておめでとうございます。

 今年もよろしくお願いします。どれだけ更新できるかわかりませんが、のんびりとやっていきます。少なくともオリンピックまでは頑張りたいかな。
 去年は何とか平均月10冊読了ペースで行けたんですが、今年は自信ありません。本を読むスピードが落ちました。疲れが取れなくなりました。時間の余裕がなくなりました。精神的に余裕がなくなりました。

ホームページの移行について

 Yahoo!ジオシティーズが2019年3月末をもってサービス提供が終了することに伴い、ホームページを移転しました。アドレスは http://hyouhakudanna.bufsiz.jp/ です。また、「はてなダイアリー」が2019年春に終了することに伴い、日記は「はてなブログ」に移行しました。アドレスは https://hyouhakudanna.hatenablog.com/ です。
 一応リンクはすべて修正したはずですが、直っていないところ、繋がらないところがありましたら、こっそりお知らせください。またブログの方までは直し切れないので、読み込みできない部分があるかもしれませんが、ご了承ください。
 ブログの方はまだ使い方がわからないところもあるので、ぼちぼちやっていきたいと思います。

横溝正史『真珠郎 由利・三津木探偵小説集成1』(柏書房)

 

由利・三津木探偵小説集成1 真珠郎

由利・三津木探偵小説集成1 真珠郎

 

 

 金田一耕助と並ぶもう一人の名探偵・由利麟太郎と記者・三津木俊助の名コンビ! シリーズが全4巻にまとめられる。
 銀座の大百貨店のショーウィンドウに飾られていたのは、本物の女性の生首。青年、由利麟太郎は全身に鋭い毛が突っ立ているゴリラみたいな怪物が大木の根元で穴を掘っているのを見つける。怪物が飛び込んだのは、鵜沢白牙という有名な学者。しかし鵜沢は百合を邪険に追い払う。穴には女性の片足があった。「獣人」。
 日本橋大老舗、べに屋の主人諸井慎介は、妻殺しで死刑が確定する。恋人で声楽家の六条月代は、慎介を救うべくかつて助けたことのあるマドロス上がりの石黒に頼み、刑務所破りを試みる。嵐の夜、地中から見事恋人を救いだしたかに見えたが、当日監房の入れ替えがあったため、脱獄したのは白蠟三郎という犯罪者であった。「白蠟変化」。
 新日報の腕利き記者、三津木俊助が見かけたトラックに積まれていた棺桶そっくりの函には、恋人・瞳にそっくりの石膏人形が乗っていた。運転手と佝僂男が函を運んだのは、恋人・瞳の父親である一柳博士の家の裏にある藤巻博士の家だった。「石膏美人」。
 瓜生朝二は友人の三津木に、君島百合絵という美女に心惹かれていることを告白する。しかし百合江に近付いた二人の青年が怪しい死に方をしており、百合江には蜘蛛が付きまとっているという。そして瓜生は殺害された。「蜘蛛と百合」。
 通子と夫の矢田貝博士は、家の近くの川で、心臓の部分に短刀が刺された蝋人形をみつける。蝋人形の胸には、矢田貝の刺青と同じような絵が描かれていた。通子は兄の三津木に相談する。もっとも三津木は、30あまりも年が違い、かつて恋人がいたことを知って冷淡になった矢田貝にいい思いを抱いていなかった。「猫と蠟人形」。
 X大学英文科講師の椎名耕介は、この夏、同僚の乙骨三四郎に誘われ、浅間山麓N湖畔へ避暑旅行に出かけた。耕介は宿泊先の鵜藤家の美少女、由美に心を奪われる。ある日の夜、耕介と乙骨は、この世のものとも思えない美少年を見かける。一週間後、浅間が爆発し、ボートに乗っていた二人は慌てて岸辺に辿り着く。展望台で二人は、美少年が鵜藤氏を殺害するのを目撃する。由美は、彼のことを真珠郎と呼んだ。「真珠郎」。
 付録として六人社版『真珠郎』の序文ほか、そして横塚茂画による「名作物語 真珠郎」が収められる。
 2018年12月、刊行。

 「横溝正史ミステリ短篇コレクション」全6巻に続く「由利・三津木探偵小説集成」全4巻の第1巻。短篇コレクションは角川文庫収録作品ばかりだったのでスルーしていたが、こちらは単行本未収録、そして初出・初刊テキストに順じて再編集ということもあり、手に取ることにした。それに由利ものは角川文庫でもバラバラに収録されていたので、発表順に収められるのは横溝ファンにとって悲願だったと思う。
 由利のデビュー作「獣人」や、奇怪な犯罪者が印象深い「白蠟変化」、三津木単独作の「猫と蝋人形」、そして名作「真珠郎」他を収録。金田一ものとはまた違った魅力のある由利・三津木ものだが、角川文庫では全然増刷されず、品切れ状態が続いていた。乱歩の通俗物に出てくる怪人につながるような犯人が出たかと思えば、三津木が駆けずり回る活劇風味もあり、由利の明快な推理もありと、金田一に劣らず人気が出てもおかしくなかったはずなのだが、ここまで冷遇される理由がわからない。やっぱり名探偵に魅力がないと、ファンがつかないのかな。由利の人物造形が今一つ固まっていないし。
 こうやってまとめて読むと、○○⇔○○トリックが意外と多いことに気が付いた。このあたりも、横溝の草双紙趣味が出ているのだろうか。
 とにかくまとまってくれて大満足。続きも期待したい。

ジョエル・タウンズリー・ロジャーズ『赤い右手』(国書刊行会 世界探偵小説全集24)

結婚式を挙げに行く途中のカップルが拾ったヒッチハイカーは、赤い眼に裂けた耳、犬のように尖った歯をしていた……。やがてコネティカット州山中の脇道で繰り広げられる恐怖の連続殺人劇。狂気の殺人鬼の魔手にかかり、次々に血祭りに上げられていく人々――悪夢のような夜に果して終りは来るのか? 熱に憑かれたような文体で不可能を可能にした、探偵小説におけるコペルニクス的転回ともいうべきカルト的名作、ついに登場。(粗筋紹介より引用)

「New Detective Magazine」1945年3月号に35,000語で掲載。同年、65,000語に増補改稿し、1Simon and Schuster社から単行本刊行。1997年4月、邦訳単行本刊行。ロジャーズは出版社に勤務しながら小説を書き続けたパルプ作家で、1922年にデビュー。様々なジャンルの小説を書き続け、1984年に亡くなった。本作は著者の探偵小説2作目。

「カルト的名作」と当時評判だった作品で、一気読み推賞だったので、時間の取れたときにようやく読むことができた。ただ、読み終わった瞬間、何だこりゃと思っただけで、面白いとは思えなかった。

医者のハリー・リドルの覚書を読んでいるうちに、これはただのサイコサスペンスかと思っていたら、最後に謎解きになった展開はびっくりさせられるものの、時系列は滅茶苦茶だし、場面がいつ切り替わったのかわからなくなる部分もあるし、何だこの登場人物はと思わせるところもあるし。

一体何を信じればよいのかわからないし、偶然の多用はあるし。正直言って、作者も何も考えていなかったんじゃないかとしか思えない。言ってしまえば、偶然の産物がこの作品だと。少なくとも最初から計画的に書いていたら、こんなふうにはならないだろう。何とかつじつまを合わせたら出来ちゃった、みたいな作品。

怪作と言えば怪作なんだろうなあ。小林晉の解説が素晴らしいことは、間違いない。