高校生のレッドは、キャンピングカーで友人3人、お目付け役の大学生2人と春休みの旅行に出かけていた。だが人里離れた場所で車がパンク。携帯の電話は届かない。そして何者かに狙撃され、残りのタイヤと燃料タンクを撃ち抜かれてしまう。午前零時、サイドミラーにかけられたトランシーバーで、狙撃者から連絡が。その人物は6人のうちのひとりが秘密をかかえている。命が惜しければそれを明かせと要求してきた。制限時間は夜明けまで。閉ざされた空間で展開される極限の探り合いと謎解き。『自由研究には向かない殺人』の著者の新たな傑作!(粗筋紹介より引用)
2022年発表。同年、クライムフェストアワードのYA部門でベストクライムフィクションに選ばれた。2025年7月、邦訳刊行。
「向かない三部作」で日本のミステリファンを喜ばせたホリー・ジャクソンの新作。人里離れた場所で何者かに狙撃された6人の若者が、キャンピングカーに閉じ込められる。狙撃者は6人のうちの誰かが抱えている秘密を明かさないと殺すと要求。制限時間は夜明けまで。
極限下で疑心暗鬼に陥る若者たちの、隠された過去と本性が次々と明らかになるストーリーがわかりやすくて秀逸。『自由研究には向かない殺人』からの著作でわかっていたが、日本のYA小説とは比べ物にならないぐらいハードな展開は、大人が読んでも結構きつい。特に後半、若者ならではの奢りと残酷さとひ弱さが交差する命がけの言い争いは、かつて若者だった大人たちの心も揺さぶるだろう。
脱出計画や秘密の告白、最後の謎解きなど、タイムリミットサスペンスにこれほどかというぐらい詰め込んだ作品。読者が登場人物に反感を抱かせる書きっぷりが本当に巧い。過去の作品群とは全く異なるサスペンスではあるが、読者を興奮させる読み応えは変わらない。特に後半から結末に向けての盛り上がりが最高。今年もベスト10に間違いなく入ってくるであろう。
