平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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谷良一『M-1はじめました。』(東洋経済新報社)

 「崖っぷちから始まった起死回生の漫才復興プロジェクト」。M-1グランプリをつくった元吉本社員がその裏側をすべて語る!
 今世紀のお笑いブームの陰には、忘れ去られていた漫才を立て直そうと奮闘した1人の吉本社員の泥臭いドラマがあった――。
 毎日会社に行くのがつまらなかったぼくは、「ミスター吉本」の異名を取る常務からあるプロジェクトを言い渡された――その名も「漫才プロジェクト」。M-1につながる一歩がここから始まった。(粗筋紹介より引用)
 2023年11月、書下ろし刊行。

 今や年末の一大コンテンツともなったM-1グランプリ。今でも視聴率20%を叩き出し、傷跡を残した芸人たちが一気に売れ、その過程と結果に素人評論家たちがああだこうだと議論を戦わす。しかしそんなM-1グランプリも、元は逆風の中から生まれたプロジェクトだった。常務から言い渡された「漫才プロジェクト」。低迷している漫才を盛り上げるためのプロジェクトだが、担当者は一人だけ。そこから第一歩が始まる。
 M-1グランプリがどのように立ち上がったかというノンフィクションであるが、最初はやる気の起きないプロジェクトから徐々に面白さを見出し、仲間を増やし、そして周りの熱を上げていく。なるほど、ビジネス本として読んでも面白い。お笑い好きにはぜひ読んでほしい本だが、それ以外にも難題のプロジェクトを成功させるにはという観点で読むと、また違った角度からの面白さがある。
 著者は当時吉本興業のプロデューサーで元取締役だが、京都大学文学部卒業とプロフィールにありびっくり。