平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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P・G・ウッドハウス『ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻』(文春文庫)

 20世紀初頭のロンドン。気はいいが少しおつむのゆるい金持ち青年バーティには、厄介事が盛りだくさん。親友ビンゴには浮かれた恋の片棒を担がされ、アガサ叔母は次々面倒な縁談を持ってくる。だがバーティには嫌みなほど優秀な執事がついていた。どんな難題もそつなく解決する彼の名は、ジーヴズ。世界的ユーモア小説の傑作選。(粗筋紹介より引用)
 2005年5月、文藝春秋より単行本刊行。2011年5月、文春文庫より『大胆不敵の巻』と分冊されて刊行。

 

 バートラム(バーティ)・ウースターは婚約者のフローレンスから、出版予定である叔父の回想録に、叔父だけでなく父のスキャンダルも載っていることから、出版前に原稿を盗んでほしいと頼まれる。「ジーヴズの初仕事」。
 いつも恋をしているバーティの親友ビンゴは、今回は食堂のウェイトレスのメイベルに恋をしていた。しかし身分が違うから、いつもお金を出してもらっている伯父が許さないだろうとビンゴは困っており、どうにかならないかとバーティからジーヴズに策を授けてもらうことにした。「ジーヴズの春」。
 いつもバーティに首枷をはめてくるアガサ伯母が、バーディをフランスの保養地の一つであるロヴィルまで呼びつけた。要件は、友達になったアーリン・ヘミングウェイと結婚しろという命令。当然バーディは断りたいが、アガサ伯母には逆らえない。困ったバーディはジーヴズに相談する。「ロヴィルの怪事件」。
 競馬で一か月分の生活費をすってしまったビンゴは、ハンプシャーに住むグロソップの息子の家庭教師をしていた。そのビンゴが、娘のホノーリアに惚れてしまったとバーティに告白した。その日、昼食に誘われたアガサ伯母はバーティに、ホノーリアと結婚するよう命令した。「ジーヴズとグロソップ一家」。
 アガサ伯母から逃げてニューヨークにいたバーティとジーブズのもとにアガサ伯母からの手紙が来て、シリルという男を世話してほしいと命令された。ところがシリルは1日目から留置場へ放り込まれていた。「ジーヴズと駆け出し俳優」。
 ロンドンに帰ってきたバーティは、ハイドパークでビンゴの伯父であるミスター・ウースターと出会う。会話をしていると、顎ひげの男が二人を指差しながら、罵倒してきた。「同志ビンゴ」。
 バーティは、主人公に突然娘が現れるという芝居を見て、子供が欲しくなった。そこで、マンションを引き払って家を買い、インドから三人の娘を連れて帰ってくる姉と同居しようという計画を立てた。しかし独身のバーティを気に入り、バーティの家で仕事を続けたかったジーヴズはこの計画をつぶすべく、ある策を立てる。ジーヴズの一人称視点で語られる「バーティ君の変心」。

 ユーモア小説の大家として知られるペルハム・グレンヴィル・ウッドハウスの代表作シリーズ。
 手に取って読んでみたが、あまり笑えなかったな。予定調和というか、お約束というか。それもかなりわざとらしい。ここまでくると、ジーヴズとバーティで楽しんでいるだけじゃないかと突っ込みたくなる。寝る前にちょこっと読む程度には、いいんじゃないだろうか。平和だし。
 ということで、次作を読む気力は今のところありません。