- 作者: 早坂吝
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2014/09/04
- メディア: 新書
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2014年、第50回メフィスト賞受賞。同年9月、講談社よりノベルス刊行。
「前代未聞」かどうかは知らないが(昔あったような気もするし……)、ここまで堂々とタイトル当てを表題に持ってきたのは初めてではないか。そのこと自体は評価してもよいと思う。
こういうケースだと大体が叙述トリックを使い、何らかの「事実」を隠しているのだろうと思いながら読んでいたが、残念ながら見破ることができなかった。海に行くシーンで本来描写されるべき記述がなかったことなど、不審な点はいくつもあったのに、気づくことができなかったというのは無念である。
テンポもよいし、短いしで、快調にページは進むのだが、事件とトリック自体はつまらないもの。途中で「神の視点」が挿話として挟まれるけれど、何のためにあるのだか。本格ミステリへの皮肉なんだろうか。
何と評価したらよいかわからないが、まあ、こういう本格ミステリもあるよ、と言う意味でだけならありだろう。二作目もこれじゃ、やってられないだろうが。アイディア一発物としてみれば、完成度は高い作品。バカバカしいけれど。