平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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石崎幸二『≠の殺人』(講談社ノベルス)

≠の殺人 (講談社ノベルス)

≠の殺人 (講談社ノベルス)

沖縄本島沖の孤島――水波照島(みはてじま)にあるヒラモリ電器の保養所で開かれたクリスマスパーティー。大手企業の御曹司・平森英一が主催するとあって、会には有名スポーツ選手や俳優などの豪華な招待客が名を連ねていた。

そんな宴の夜、惨劇が! 人気プロ野球選手、井沢健司が無残な死体となり発見されたのだ。その後、連鎖し起こる不可能殺人!! 事件の背後にある深い闇に迫る!(粗筋紹介より引用)

女子高生コンビ、ミリア&ユリシリーズ最新刊。2009年12月書き下ろし。



独身中年不良社員石崎幸二と櫻藍女子学院高校二年生で、ミステリィ部に所属する御薗ミリア、相川ユリが漫才を繰り広げながら事件を解決する本格ミステリシリーズ。ミリアたちの同級生でかつ部員の深月仁美や、警視庁の独身女性刑事斉藤瞳もレギュラーとして登場。本格ミステリのお約束を中心に茶化しまくるやり取りにはさらに磨きがかかっているのだが、問題はいつまでこのワンパターンを続けるかということ。毎回毎回同じパターンだと、いくら発表間隔に開きがあるとはいえ、飽きが来るんですが……。

本作品でも孤島、嵐の夜、独創的なところがある建物、エキセントリックな一卵性双生児の姉妹など、これでもかとばかりのお約束が並び立てられるのだが、事件そのものは少々謎が弱い。本格の部分が弱いため、笑いの方にウェイトを置くような書き方になっているのはかなり問題か。やはり謎と解決に重点が置かれてこそ、ミリア&ユリの会話が生きると思うのだが。

このシリーズもそろそろ新パターンを導入する時期に来ているんじゃないかな。例えば、石崎幸二の後輩社員である美形男子を投入するとか。ベタすぎるか。