- 作者: 周木律
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/04/04
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (26件) を見る
2013年、第47回メフィスト賞受賞。同年4月、講談社ノベルスより刊行。
天才建築家が建てた奇妙な建物、眼球堂に集まる各界の"天才"たち。不可能連続殺人事件。閉じ込められた山の中の館。いつか見た、昔懐かしの本格ミステリである。新本格ミステリブームの頃ならいざ知らず(その頃でも古い!と言っているだろうが)、何も今時こんなミステリを書く必要もないだろうに、と思いながら読んでいた。しかもトリックは、いつか見たことがあるようなものの組み合わせ。ページを無駄に使っているとしか思えない蘊蓄の数々。"天才"と言われる割に天才ぶりを発揮できない登場人物たち。なんか、新本格の悪いところ(逆にそこがいいという人もいるだろうが)を寄せ集めたような作品。森博嗣と綾辻行人の二番煎じとしか思えない。最後の章なんて、本当に悪影響を受けたとしか思えなかった。
作者自身のオリジナルな部分(というほどでもないかな……)は、探偵役の十和田只人が神の書『The Book』を探しているところか。残念ながらその設定も作品に溶け込んでいない。
あまりにも古くさい設定の作品を出すのなら、もう少し新味のあるところが見たい。それがなければ、ただノスタルジーを求めただけの作品に終わってしまう。