平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

漂泊旦那の日記です。本の感想とサイト更新情報が中心です。偶に雑談など。

吉田司雄編『探偵小説と日本近代』(青弓社)

探偵小説と日本近代

探偵小説と日本近代

科学的な言説と大衆的な不安とが交差するなかから誕生した探偵小説は、時代をどのように表象してきたのか。近代文学の探偵小説的なるものの系譜を追いながら、魔的で奇怪な物語空間を縦横無尽に論じ尽くす論考集。(表紙より引用)

収録論考は以下。

序章・吉田司雄「探偵小説という問題系──江戸川乱歩幻影城』再読」、第1章・原仁司「前衛としての「探偵小説」──あるいは太宰治表現主義芸術」、第2章・高橋修「近代日本文学の出発期と「探偵小説」──坪内逍遙黒岩涙香内田魯庵」、第3章・一柳廣孝「さまよえるドッペルゲンガー──芥川龍之介「二つの手紙」と探偵小説」、第4章・森岡卓司「探偵小説と変形する身体──谷崎潤一郎「白昼鬼語」と江戸川乱歩「鏡地獄」」、第5章・永野宏志「砕け散る暗い部屋(カメラ・オブスキュラ)──小栗虫太郎黒死館殺人事件』と電気メディア時代」、第6章・小松史生子「 戦後文学としての本格推理──横溝正史『本陣殺人事件』再考」、第7章・紅野謙介「「五〇年問題」と探偵小説──戦後文学におけるジャンルの交錯」、吉田司雄「あとがき」。

2004年3月刊行。



編者は工学院大学助教、日本近代文学専攻(刊行当時)。

明治以後の日本近代文学と探偵小説との関わりについて書かれた論考集。これを新刊で買った頃は、まだミステリの評論に興味があったのだが、今は全然興味がない。買った頃に読めばもう少し違ったのだろうが、あーそうなんだ程度の感想しかなかった。決定的なのは、自分が純文学を全然読んでいないところだろうな。読んでいて面白かったのは第6章と第7章くらいか。これも趣味が少し合ったからにすぎないのだが。