- 作者: 連城三紀彦
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2005/11
- メディア: 文庫
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2002年4月、双葉社より単行本刊行。2005年11月、文庫化。
誘拐事件なのに、誘拐された被害者の家に行くことができず、隣の家から情報を仕入れる捜査陣。何か腹に一物ありそうな登場人物群。なぜか殺される動物たち。いたるところに仕掛けられている、怪しそうな文章と伏線。意味深なタイトル。意外な結末。まあ、確かに一言で言い表すのなら連城マジックだな。これだけの仕掛けを成立させたその腕には脱帽するのだが、それが面白かったかどうかと言われれば話は全く別。ぶっちゃけて言ってしまえば、結末、これでいいの、と言いたくなる作品。被害者の言動や行動にも首をひねるところが多いし、警察の動きも今一つ。警察に駆け込んでいれば終わったんじゃないの、という疑問については作者の回答もかなり苦しいと感じる。そしてこれは好みの問題だろうが、犯人の動機や行動が勝手すぎ。他の登場人物も含め、イライラする人たちばかり。読んでいる自分も含め、そういう自分勝手な世情を表している作品なんじゃないかと、邪推するぐらい。
読者を選ぶ作品であることには間違いない。人間心理にこだわらない人だったら、この仕掛けを喜ぶんじゃないだろうか(とかなり偏見な見方をしてみる)。