平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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藤子・F・不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』(小学館 藤子・F・不二雄大全集)

藤子・F・不二雄大全集第3期第13回配本の一冊。1953年に刊行された唯一の描き下ろし単行本「UTOPIA 最後の世界大戦」と、1951〜1952年に「毎日新聞少年版(大阪版)」に掲載されたデビュー作「天使の玉ちゃん」全26本を収録。
全集第100巻に相応しい1冊。藤子不二雄を語る上で外せない2作品がまとめられている。「UTOPIA 最後の世界大戦」については以前にも書いたので特に記すことはないが、こうやって全集にまとめられただけで感動である。「天使の玉ちゃん」は初めての単行本収録。『まんが道』とは違う絵柄であることは以前から指摘されていたが、こうしてまとめて読むと、異世界からの人物が一般家庭に交じるという後の藤子F作品でよくみられるパターンであったことがわかる。ここに、藤子Fの原点があったといってよいだろう。
解説は藤子不二雄A。やはりこの巻はこの人だったか、という感じで登場。それにしてもついに100冊到達。これで終わりかと思ったら、まさかの第4期15冊が待っていた。全250〜560Pと書かれているから、本巻みたいに薄すぎる(苦笑)といったことはなさそう。資金稼ぎに大人雑誌などへ投稿していたコマ漫画や、『漫画少年』の読者投稿に掲載されたなども作品なども収録してくれるとうれしいのだが。