平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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藤子・F・不二雄『仙べえ』(小学館 藤子・F・不二雄大全集)

藤子・F・不二雄大全集 仙べえ

藤子・F・不二雄大全集 仙べえ

藤子・F・不二雄大全集第2期第9回配本の一冊。憧れのマイホームを建てた峯野家に突然現れたのは、仙人になるために100年前家出をした仙べえ。108歳なのだが、白いひげを除くと見た目も顔も子供のまま。しかし使う仙術は失敗ばかりで、峯野家の家族は常に振り回される。『週刊少年サンデー』1971年37号〜1972年3+4合併号連載。単行本未収録作品2本を含む全作品を収録。ストーリー藤子・F、作画藤子Aという共作であり、確か藤子不二雄最後の合作だったと覚えている(旧作の再連載は除く)。藤子・Fにとっては最後の『週刊少年サンデー』連載作品とのこと。大都社スターコミックスから全1巻で出ていたが絶版であり、古本屋では数万円の値がついていた。今回、初めて読むことができた。
使う仙術はいつも失敗ばかりで周囲に迷惑しかかけていないという仙べえのドタバタぶりが楽しめる作品。作画が藤子Aということもあるが、その内容やギャグに特化しているところもどちらかといえば藤子Aのテイストらしい作品であり、藤子・Fがストーリー担当だとわかっていてもちょっと信じられない。ただラストシーンはどちらかと言えば藤子・Fらしさがある。どういう経緯で合作を行うことになったのか、聞いてみたかったところである。それにしても、藤子・F全集で藤子A作品オンリーの絵を見るというのはちょっと違和感があったり(苦笑)。
解説はコラムニストのブルボン小林。内容や執筆当時の背景などについて書かれており、今まで出版された中でも解説らしい解説に仕上がっている。関係者による解説もいいけれど、一作品に一つはこのような作品の背景に迫る解説がほしかったと思う。