藤子・F・不二雄大全集 T・Pぼん: 藤子・F・不二雄大全集 第3期 (1)
- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/09/22
- メディア: コミック
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地味ながらも藤子Fファンには人気の高い『T・Pぼん』が大全集に登場。第1巻は、2016年の世界に住む先輩隊員リームとともに活動するリーム編。『コミック・トム』不定期掲載のユメ子編よりも、行動が今一つ不安定な凡と、頼れる先輩ながらも実はおっちょこちょいであるリームとの絡みの方が面白いと思うのは私だけではないはず。リームって、藤子Fキャラでは珍しい姉ポジションだったと思う。
SFに歴史を絡めた物語は、藤子Fの趣味と知識を存分に生かしたものであり、本人も筆がノッていたと思われる。それほど人気を考えず、好き放題に描けた作品であった、とも勝手に想像している。学習雑誌がホームグラウンドだった藤子Fにとって、この作品はある意味オアシスだったのではないか。同じ傾向の作品ばかりを、そして読者を念頭に置いて描き続けていれば、それはどこかで破綻する。そんな欲求不満を解消するため、バランスをとっていたのがこの作品だったはずだ(まあSF短編もそうなんだろうけれど)。高橋留美子でいう『らんま1/2』と『人魚の森』シリーズみたいなものだな。
ということで、ハードカバーを買わなかった私は、読んだことのない潮コミックス未収録作品を早く読みたいのだよ、うん。