平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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藤子・F・不二雄『T・P(タイム・パトロール)ぼん』第3巻(小学館 藤子・F・不二雄大全集)

藤子・F・不二雄大全集 T・Pぼん 3

藤子・F・不二雄大全集 T・Pぼん 3

藤子・F・不二雄大全集第3期第7回配本の一冊。時代・時間を問わず、歴史の流れに影響のない範囲で不幸な死を遂げた人々を助ける、それがタイム・パトロール(T・P)。安川ユミ子が正隊員となり、ユニフォームやタイムボートもリニューアル。タイムボートに新たな機能も加わった。しっかりもののユミ子にうかうかしていられない先輩隊員・並平凡。『コミックトム1984年6月号〜1986年7月号に不定期掲載された11本を収録。
第3部ともなり、ユミ子の活躍が目立つようになる。このあたりの二人のやり取りがややワンパターン化したのは残念だが、歴史の謎に切り込む作者の視点と、二人の活躍が適度にミックスされ、読み応えのある作品に仕上がっているのはさすが。
本巻の目玉は、なんといっても単行本未収録「王妃ネフェルティティ」「ひすい珠の謎」の2作品を収録していること。「王妃ネフェルティティ」は単行本化に向けて修正中だったため、本巻では雑誌掲載版が収録されている。もっとも私は、『T・Pぼんスペシャル版』(潮出版社)も呼んでいないので、「古代の大病院」「神の怒り」「ローマの軍動」も呼んでいなかったので、計5本が初読。久しぶりに藤子Fの新刊を読んだ気分になり、楽しかった。
作者はあと1本描いて、潮コミックスの第6巻を出すつもりだったという。この作品は多分完結することがなかっただろうが、ぜひともあと1本読みたかった。
解説は藤子作品の監修も行っているメモリーバンク代表の綿引勝美。藤子作品のみならず、横山光輝などのエピソードにも触れられており、読み応えのある解説に仕上がっている。できることならもっと読んでみたい。