平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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魔夜峰央『May(メイ)(たぶん)探偵プリコロの帰還』(東京創元社)

May探偵プリコロの帰還

May探偵プリコロの帰還

評判の悪い実業家が、地下にある自室で刺殺された。凶器は部屋になく、明らかに他殺。しかし部屋はテンキーでカギがかかっており、実業家が部屋に入った後は、複数の警備員がドアを監視していた。「完全密室殺人事件」。

フリーランスで凄腕の殺し屋であるキャットが、背中から銃で殺害されていた。用心深く、背中に目があるとまで言われた男が、なぜ背中から撃たれたのか。「回る音の謎」。

翌日の蔵相会議を控え、近隣諸国から財務大臣が集まった歓迎レセプションで、P国の大臣が毒殺された。ワインに毒が入っていたのだが、グラスはテーブルに並べてあったものを自身が取り上げている。無差別殺人か、それとも犬猿の仲であるS国の大臣の仕業か。「コロネラワイン毒殺事件」。
警察本部の前にあるホテルの最上階で、部屋を借り切っている元実業家の老人が殺害された。昨日偶然見かけた、数回の明りの点灯が事件の謎を解くカギなのか。「窓の明かりの謎」。
『Webミステリーズ』2011年1〜4月号連載。推理はすべて外れているのに、なぜか犯人は合っている。ヨーロッパにあるコロネラ王国の王子、プリンス=コロネットの活躍?を描く、ミステリ漫画。



祥伝社から描き下ろしで出ていたプリコロシリーズが、東京創元社から登場。事件が起き、プリコロが純粋推理で犯人を指摘するが、去った後で警視総監が犯人から話を聞くと、推理の中身は的外れ……という連作推理漫画である。
毎回書いているのだが、同じ事件に対し、常に二つの推理を用意しなければならず、ギャグ漫画という点を差し引いても、かなり難易度の高いシリーズと思える。まあ、オチがワンパターンなのはどうにかならないかと思うのだが。