- 作者: 彩坂 美月,くまおり純
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/08/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2011年8月、書き下ろし。
作者(あやさか・みつき)は2009年、第7回富士見ヤングミステリー大賞準入選作『未成年儀式』でデビュー。本作は三作目。プロフィールを見るまで全く知らない作家だったが、帯に有栖川有栖推薦とあったことと、「2010年代のぼくたちのミステリ」などと書かれていたので、珍しく買ってみる気になった。
互いに顔も名前も知らないファンたちが集まって、役を演じながらツアーを続けるという設定は充分期待を持たせるものであったのだが、殺人が起きたと騒いでいる割に誰も離脱せず、指示に従い続ける点はかなり疑問。それだけ未発表原稿に魅力があったと作者は言いたいのだろうが、残念ながらその辺が全く書けていないため、説得力に欠けている。全員、裏を知っているのかとまで思ってしまったぐらい。それに、駅で新聞ぐらい買えるだろう! と言いたくなった。作中でも触れられているが、ネカマがいたらどうしたのだろう。それに誰か逃げ出していたら、どのような結末をつけるつもりだったのだろう。
根本的な矛盾を抱えたまま読み進めたため、終わっても驚きはなかったし、結局(周りから見たらつまらないことで)悩める若い人たちがわあわあ言っているだけにしか見えなかった。結局何をやりたかったのかがわからなかった。こういう作品が早川から出たこと自体がびっくりだが、編集者ももう少しアドバイスしろよとは言いたくなる。ヤングミステリ系ってみんなこうなの?