平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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魔夜峰央『May(メイ)(たぶん)探偵プリコロの不信』(東京創元社)

May探偵プリコロの不信

May探偵プリコロの不信

プリコロが借りている探偵事務所で、探偵姿のプリコロを尾行し続けていた評判の悪い私立探偵が死亡した。右手でピストルをもち、左胸を撃ったように見えるが、とても自殺しそうな人物ではない。プリコロは、大家が犯人だと推理する。「プリンスの浮気事件」。
聖カテドラル協会から修繕費用を援助してほしいと、司祭の使いが宮殿を訪ねてきた。とりあえず10万コロネ(約1000万円)を喜捨するから待ってほしいという話で王さまと財務大臣の話はまとまり、金庫室へ向かった職員が殺された。「カテキョ」と残されたダイイングメッセージは、家庭教師を指しているのか。しかし被害者はすぐ死亡したので、これは犯人による細工と見破られた。「カテキョの謎」
探偵の紛争中、品の良いご婦人レディー・カカに道を尋ねられたプリコロは、彼女を宮殿に連れて行った。驚く王、そしてしばらく滞在することに。不倫かと疑うプリコロ。三日後、カカの部屋でゴシップ雑誌の記者が殺され、凶器のナイフをカカが持っていた。「国王の不倫事件」
父の仕事の都合で、2つ年上の幼なじみ、ステラが帰ってきた。ステラは大人の前では猫をかぶるが、二人きりになるとプリコロをいじめていたので、会いたくはなかったが、採火したステラは別人のようにおとなしくなっており、再び宮殿を訪れるようになった。ところがある日、ステラの飼い猫、アントニオが誘拐され、脅迫状が届く。「ステラの罪」
『Webミステリーズ!』2011年9月号〜12月号掲載。
事件を明快な推理で解き明かして犯人を指摘するが、実際はその推理が出鱈目であったというパターンは変わらない。ワンパターンとなりそうなところを、ギャグなどでフォローできているところはさすが。厭きる寸前で失恋ネタも抑えるようになったのもよかった。それでも、いつまでこのパターンを続けられるかな。昔ほど、トリックが入らなくなってきたし。
創元から出ているシリーズは、最初が「帰還」(ホームズ)、次が「狼狽」(亜愛一郎)、本作が「不信」(ブラウン神父)。さて、次に来るのは日本人の名探偵とすると、「メロディ」(御手洗潔)あたりか。