平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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魔夜峰央『May(メイ)(たぶん)探偵プリコロの狼狽』(東京創元社)

May探偵プリコロの狼狽

May探偵プリコロの狼狽

アイスキャンディーを舐めて尖らせながら食べる社長が倒れ、のどにアイスキャンディーが突き刺さって絶命した。事故と思われたが、プリコロは殺人事件と言い張る。「アイスキャンディー殺人事件」。

マンションの5階で腕利きの投資家が刃物でめった刺しにされた。発見者の弟以外に、マンションを通った怪しい人物はなく、しかし被害者と弟の関係は良好だった。「マーフィー殺人事件」。
振り込めサギの仲間として捕まりながらも保釈された、経済連合会会頭の孫が殺された。たまたま角を曲がったところを射殺されたものだが、見張っていたベテラン刑事は誰も見ていないという。「振り込めサギの殺人」。
一等地にあるアパートで管理人を務める30代の男が失踪した。アパートのオーナーである80代の父親とは、仲が悪かったという。失踪した男は、2週間前に保険金契約を結んでいた。「管理人失踪事件」。
ヨーロッパの小国・コロネラの王子様、プリンス=コロネットが、途中の推理は全部外れているのに、なぜか犯人だけは言い当ててしまうシリーズ最新刊。『Webミステリーズ』2011年5月号〜8月号連載。
毎度おなじみの探偵シリーズ。なんだかんだで結構続いているが、一つの事件で二通りの推理を用意しなければいけないのだから、大変なものだ。ただ、若干その謎自体が淡泊になっている気もするが。それに犯人が自白するキーワードも、ごろ合わせを聞き違えたりなど、だんだん苦しいものになってきている。それでも、最終話でようやく失恋オチから離れることができたのはよかった。これからもがんばってほしいシリーズである。