- 作者: 佐々木丸美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1988/12
- メディア: 文庫
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1980年3月、書き下ろしで発表。1988年12月、一部加筆修正のうえ文庫化。
『崖の館』『水に描かれた館』に続く館三部作最後の作品。前二作を読んでいないと、何のことだかさっぱりわからない。さらに言えば、『雪の断章』シリーズも読んでいた方が、よいかも。
冒頭に死んだはずの小さい千波が登場。しかも吹原が出てきて、何だこれはと首をひねる展開。よく読むとそれは、過去の作品に出てきた千波とは別人であることに気付かされる。あとは延々と心理的愛憎劇が繰り返されるだけ。周囲の人物を狂わせるぐらい愛されているのが吹原なんだが、一体どこにそんな魅力があるのかさっぱりわからない。そもそもそういう人物なんだよ、という前提で書かれているのだから、言うだけ無駄なんだろうが。
輪廻転生の概念に付いていけないから、読んでいて苦痛。とことんぶつけるだけの愛情も重いだけ。そこを受けいれるだけの好みがないと、この人の作品は読めないのだろうなあ。ドロドロのマグマを底に秘めたメルヘン恋愛小説。結局この人の館三部作は理解できなかった。