魔夜峰央『May(メイ)（たぶん）探偵プリコロ』第2巻（祥伝社 ロマ×プリコレクション）

May探偵プリコロ2 (Feelコミックス ロマ×プリコレクション)

ヨーロッパの小国コロネラ王国の王子プリンス＝コロネットは、ミステリ好きの父の影響で名探偵になりたいと思うようになり、財務大臣に無理矢理お金を出させ、法務大臣に無理矢理探偵免許を発行させ、探偵事務所まで作ってしまった。
連続通り魔殺人事件で男性2人が死亡。2人の関係は出身が同じということだけ。しかし無差別殺人ではないとプリンスは推理する。「ABCの謎」。
コロネラ出身の実業家ジェリー＝ゴトーが墓参りで50年ぶりにアメリカから帰国。強盗ジェリーと呼ばれるほどの悪人であるため、ボディガードや秘書4人とともに山小屋へ泊まったが、翌朝滅多刺しにされた死体となって発見された。外の雪には足跡がなかったため、犯行は内部の人間の仕業に違いない。被害者はTOMというダイイング・メッセージを残していたが、TOMという人物はいなかった。「トムとジェリー事件」。
80歳のギリシャの海運王と婚約を発表したばかりの人気女優が殺害された。ストーカー3人の中の誰かが犯人と思われ、アリバイからプリンスはある男を犯人と指摘した。「犯行時刻は5時50分」。
推理は見当はずれなのに、なぜか犯人が捕まり事件は解決する「脱力系」推理漫画第2巻。
予想以上に早かった第2巻だが、意外にも全て描き下ろし。正しいと思われる推理と、本当の結末と2パターンを用意しなければいけないし、しかも正しいと思われる推理の方が本格ミステリっぽく、実際の解決は推理と無関係のことが多いというのだから、結構アイディアを考えるのが大変だと思う。もっともこの作者のことだから、それほど悩まずに描いたんだろうなあと推測する。まあ、下手に悩みまくるより、筆の赴くままに描いた方が面白い漫画家だし。続ける意志はあるようだし、次も期待するか。