平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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二階堂黎人氏が考える本格ミステリ(その2)

二階堂黎人氏の恒星日誌12月6日を読んで思ったことを書いてみる。もしかしたらここに書くことは、“小さな矛盾やブレ”かもしれない。
そこまで自分の本格感を主張するのなら、過去の本格ミステリ大賞候補作がいずれも本格ミステリなのかどうかを教えてもらいたい。
本格評論シーンが危険な状況にあるかどうかは知らないが、もし危険な状況にあるとするならば、それは単に“評論家”を増やしすぎたバブルが弾けただけじゃないのか。
弥勒の掌』のどこが本格ミステリなのだろうか。“手がかりと伏線、証拠を基に論理的に解決される謎解き”がどこにあるのだろう。



色々定義などを書いているが、二階堂黎人氏が考える本格ミステリというのは、「自分が本格ミステリ作家として認めた作家が書いたミステリ」を本格ミステリと名付けているだけのような気がする。だからこそ氏は『臨場』や『天使のナイフ』を読もうとしないのだ。“私や芦辺拓氏や有栖川有栖氏などの書く作品を読んで、本格を書いていない、などどは誰も思わないだろう”と書く時点で、氏が作家によって分別をしていることが明らかだ。
ついでに書くと、本格ミステリベスト10や本格ミステリ大賞に投票する一部の人も、そんな区分けだけで作品を選んでいる気がする。別にそれでもいいけれどね。定義付けやランキングなんて、人それぞれなんだから……と最近になってようやくあきらめがついた。