平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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笠井潔『探偵小説論II 虚空の螺旋』(東京創元社)

探偵小説の第二の波が、日本人が初めて直面した大量死の現実により喚起されたとするなら、綾辻行人を嚆矢とする第三の波は何によって呼び起こされたのか?『本格ミステリの現在』の編纂で日本推理作家協会賞を受賞した著者自らが、綾辻行人法月綸太郎我孫子武丸山口雅也京極夏彦らによる現代本格ムーヴメントの文学的な意義を確定しようと試みた、秀逸な戦後日本論。(帯より引用)

野性時代』1995年11月号〜1996年4月号に連載された「本格探偵小説の『第三の波』」に、作者が他の機会に書いた文章を合わせて再構成し、加筆訂正したものを1998年12月に刊行。



いわゆる「新本格」ブームをわざわざ「第三の波」と名付け、ミステリ評論界をリードしようとする姑息さが好きになれないが、予想通りこの言葉は全く定着しなかった。まあ、それはどうでもいいけれど、「大量死」と「大量生」などといった概念を持ち出さないと、探偵小説が語れないとは思えないんだけどねえ。これも無理やりなこじつけ感がぷんぷんする。いや、どこがおかしいかを語る言葉、持っていないんだけどさ。