平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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日本推理作家協会賞受賞作全集

双葉文庫のシリーズだが、この6月に2年ぶりに刊行。珍しく一気に6冊も刊行されたが、上下巻が2本あるので、結局1998年度の受賞作のみ。うーん、やっぱり毎年出してほしいわ。それにしても、著者側の都合だろうが『沈黙のファイル』がスルーされたのは残念。確かにミステリではないけれど、ノンフィクションの傑作だからもっと読まれて欲しいなあ、これは。

今のところ、1998年以前に受賞した作品でこの全集から出ていないのは、奨励賞を受賞した丘美丈二郎 『鉛の小函』、氷川瓏 『睡蓮夫人』、鷲尾三郎 『雪崩』の3作と、竹中労『百怪、我が腸ニ入ル 竹中英太郎作品譜』、加納朋子「ガラスの麒麟」、各務三郎『チャンドラー人物事典』、黒川博行「カウント・プラン」と『沈黙のファイル』。短編はいずれ短編集が編まれるだろうからそこに入るのだろう。奨励賞3作は仕方のないところかもしれないが、滅多に読むことができない作品なのだから別巻でも出してほしかったところ。竹中労の作品は竹中英太郎の挿絵の作品集だから、文庫で収めるのはほぼ不可能だろう。古本屋では万を超える作品集だから、1回は見てみたかったけれど。そして残念なのは先に挙げた『沈黙のファイル』と『チャンドラー人物事典』。ミステリファンでもなかなか手に取ることのない作品だろうから、今からでも遅くはないので入れてほしいと切に願う。それに『チャンドラー人物事典』はまだ読んでいないし(私的理由かよ!)

この後の受賞作を見ても、森英俊『世界ミステリ作家事典〔本格派篇〕』とか都筑道夫『推理作家の出来るまで』、 新保博久山前譲『幻影の蔵』あたりは収録されないだろうという予感がする。まあ、今から元版を入手しようという元気はないけれど。