- 作者: 近藤史恵
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/08
- メディア: 単行本
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5つ目の伊豆ステージまでは総合1位だったが、このステージで石尾の自転車がパンク。石尾は「来い」とサインを出す。無視すれば総合1位も夢ではなかったが、白石はアシストに徹して石尾の元に行く。そして最終ステージも終わり、チーム・オッジが総合優勝、石尾が1位。白石も総合10位に入ったため、リエージュ・ルクセンブルクのレースに参加することとなった。そこで悲劇が起きる。
2007年8月刊行。2008年、第10回大藪春彦賞受賞。第5回本屋大賞では惜しくも2位だった。
周囲の評判はよかったし、大藪賞を取っていたことも知っていたが、買うだけ買ってそのままにしていた1冊。まあ、素直に評判を信じるんだったね、と少々後悔。
ロードレースを舞台にしたミステリ兼青春小説。長大化している今日からしたらちょっと短いけれど、内容はとても濃い。
エースとして冷酷であり、かつては期待のホープだったチームの後輩を故意の事故で下半身不随にしたとの噂がある石尾、チーム最年長であり石尾の影として7年間サポートに徹してきた赤城、次期エースを目指す伊庭、石尾に潰されて今は車椅子でのラグビー選手である袴田、白石のかつての恋人初野香乃など、登場人物も多種多彩。特に、石尾や赤城のプロ意識が恐ろしい。勝利のためにここまですることができるのかと思ってしまった。そして、このメンバーの中では一見地味に見える白石の芯の強さが、物語を通じてより一層鮮やかに照らし出される。
それにしても、本のタイトルであり、最終章の「サクリファイス」(生け贄を意味する)は非常に深い言葉である。
続編『エデン』、『サヴァイヴ』、『キアズマ』があるそうだが、手に取ってみるか。