- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/05/25
- メディア: コミック
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『のび太の創生日記』は、藤子Fが好きな題材と思われる地球創世を取り扱ったもの。のび太たちとジャイアン・スネ夫がバラバラに行動するなど一体感に欠けており、様々な時代のエピソードをつまみ食いして並べる展開となって、作者が書いているように、構想だけがどんどんふくらんで収拾がつかなくなっている。とはいえ、これをだらだら書き続けても、面白いものには仕上がらなかっただろう。はっきり言えば失敗作なんだろうが、最後にのび太のそっくりさんが大人になった野美のび秀が、秘書である源しず代にプロポーズするところは、のび太としずかの未来を暗示しているようにもみえる。ここだけは嬉しかった。
『のび太と銀河超特急』は、『銀河鉄道999』を藤子F流にアレンジしてみたというところか。ミステリー列車、遊園地ドリーマーズランドでの様々なアトラクション、道の敵との遭遇、最後はのび太が活躍など、娯楽に徹した仕上がり。一本芯が通ったストーリーの中に、短編要素を含んだ細かいエピソードを連ねる形になっており、読んでいても飽きが来ない展開。晩年の大長編では面白い作品の方ではあるが、逆にこれといったテーマがなかった分の物足りなさはあるかもしれない。
『のび太のねじ巻き都市冒険記』は絶筆作品。連載2回目までが藤子Fのもので、3回目〜6回目はアイディアノートを基にスタッフが描いたもの。読んでいて物足りなさと淋しさがあるのは仕方がないが、もうちょっと違う展開があったんじゃないかとも思ってしまう。ねじ巻きの部分をもう少し活かすことはできなかったのだろうか。
この巻で完結。最後は藤子Fのライフワークともなってしまった大長編だが、後半になるにつれ、出来不出来の差が激しくなっていったのは残念。それでも、最後まで『ドラえもん』の世界を描きつくそうとしたその姿勢には脱帽する。