平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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藤子・F・不二雄『オバケのQ太郎』第11巻(小学館 藤子・F・不二雄大全集)

藤子・F・不二雄大全集 オバケのQ太郎 (11)

藤子・F・不二雄大全集 オバケのQ太郎 (11)

藤子・F・不二雄大全集第2期第10回配本の一冊。本巻は『小学六年生』1965年4月号〜1966年10月号掲載作品に加え、『女学生の友』1966年1月号〜12月号に掲載された「オバケのP子日記、『別冊少年ジャンプ』1973年9月号に掲載された「スタジオ ボロ物語」を収録。

本巻の掲載誌は『小学六年生』。ここではガールフレンドU子が初登場、レギュラー化。あまり好みのキャラクターではないのだが、Q太郎という漫画を彩ったという事実は間違いない。それにしても掲載誌によってレギュラーを変えてくるところは、芸が細かい。よく迷わなかったものだ。
そして本巻のさらなる目玉はやはり「オバケのP子日記」。ゆかりさんの家に下宿するP子が活躍する番外編。この時期のオバQは他種多方面にわたって、いろいろな活躍をしているところが興味深い。
「スタジオ ボロ物語」のモデルは藤子FやA、鈴木、石森、つのだらが参加したスタジオゼロ。そしてオバQ誕生秘話が描かれている。ここで収録されるのか、とも思ったが、よくよく考えてみるとベストな位置なのかも。オバQ誕生については漫画みたいな出来事が描かれているのだが、藤子Aも同じようなことをエッセイで書いているのだから、多分これと似たようなことは本当にあったのだろう。
自伝的漫画が少ない藤子Fの、数少ない一編。できれば、手塚みたいに一冊にまとめられるぐらいの自伝的漫画を描いてほしかったが、それは作者のキャラクターと合わないか。藤子Aがスタジオゼロ時代のことを描いた漫画が何一つない(文章ではある)ことを考えると、非常に興味深い作品でもある。