- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/09/18
- メディア: 単行本
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『小説推理』2004年に1本、2005年に2本、2008年に2本、そして2009年に4本が掲載された連作短編集。2009年9月刊行。『このミステリーがすごい!2010」、『2009年度週刊文春ミステリーベスト10』においてダブル1位獲得。
一つの殺人事件の捜査を通し、事件にごくわずかな関連があった人たちの周囲にあった事件や悩みが、一人の刑事の行動によりいつしか解消に向かっていく短編を集めた連作短編集。短編が進むに連れ、事件の骨格や被害者の心理、そして事件の謎が徐々に明らかになっていく。最初に執筆されたのが2004年、完結が2009年。帯の言葉を見ると、作者はこの構想をずっと温めていたようであるが、よくぞ完結したなと思わせる。短編毎の独立性を保ちつつ、それでいて連作ならではの関連性に気付かされるとにやっとし、そして作品が進むにつれ被害者の思いに引きずり込まれ、最後に解決を迎えて加賀の行動について全て納得いってしまう。巧みな構成には感心させられた。
あまり東野作品を読んでいないので何ともいえないのだが、加賀恭一郎ってこんなにソフトなイメージだったっけ? もっと切れ味鋭いイメージしか抱いていなかったのだが。
確かに面白かったのだが、ミステリとしてよりも人情もの刑事ドラマをワンクール見せられたような感が強い。それが悪いと言うつもりは更々ないが。そう思っていたら、2010年4月より連続ドラマ化されるのね。阿部寛というのは何となくこの作品のイメージに合うかも。