- 作者: アントニィ・バークリー,鮎川信夫
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1972/01
- メディア: 文庫
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1937年刊行、バークリーの代表作。
今頃読むのか、な一冊。これだけは、なぜか手を付けていなかった。今から70年も前の作品だけど、今読んでも十分に面白い。時代設定などは当然当時のものだが、このひねくれ度は今でも十分通用するものである。
主人公や読者を皮肉るような展開の数々。そこにあるのは揶揄ではなくて、あくまで批判と風刺、そしてユーモアであるから、少々耳に痛いような言葉でも、読んでいて楽しい。倒叙作品ではあるが、『歌う白骨』などのような本格推理小説ではない。自身の「殺意」のようなサスペンスでもない。これは倒叙の形を使った、一種の風刺小説とでも評すればいいのだろう。
それにしても、チタウィック氏が出てくる作品は、へんてこな、そして面白い作品ばかりだ。
どうでもいいが、創元推理文庫の「倒叙」マークの時計は12時20分あたりをさしているのだが、これはいったいどういう意味があったのだろうか。クロフツの例の作品と関連があるのだろうか。