平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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桐野夏生『天使に見捨てられた夜』(講談社文庫)

天使に見捨てられた夜 (講談社文庫)

天使に見捨てられた夜 (講談社文庫)

失踪したAV女優・一色リナの捜査依頼を私立探偵・村野ミロに持ち込んだのは、フェミニズム系の出版社を経営する渡辺房江。ミロの父善三と親しい多和田弁護士を通じてであった。やがて明らかにされていくリナの暗い過去。都会の闇にうごめく欲望と野望を乾いた感性で描く、女流ハードボイルドの長篇力作!(粗筋紹介より引用)

1994年6月、講談社より単行本として刊行された作品の文庫化。



乱歩賞受賞作『顔に降りかかる雨』に続く長編。前作の主人公である村野ミロがふたたび登場する。前作は正直それほど好きになれない作風だったが、本作はそれ以上。女性が女性であるという生身の姿をそのままさらけ出したハードボイルドって、どうも苦手だね。軟派系ならまだ読めるんだけど。ミロという女性が好きになれないし、他にも出てくる女性登場人物のほとんども好きになれない。別に差別する意識はないんだけど、無意識にそういう目で見ているのだろうか。

失踪したAV女優を探し出す過程で、様々な過去や色々な問題とぶつかり合うというのはハードボイルドの定型であるし、描き方も悪くないと思うんだが。これはもう生理的にダメだった。