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さらば甘き口づけ (1980年) (Hayakawa novels)
- 作者: ジェイムズ・クラムリー,小泉喜美子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1980/12
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アル中の作家、アル中のブルドッグなど特異で魅力溢れるキャラクターと失踪した娘の謎に包まれた過去――チャンドラー、ロス・マクドナルドを継ぐ薫り高いハードボイルド・ミステリ。(粗筋紹介より引用)
1978年、アメリカで刊行。1980年12月、翻訳のうえ単行本で刊行。
『酔いどれの誇り』に出てきた探偵ミロとともに、クラムリーのもう一人の探偵役であるC・W・スルー(小鷹信光訳だとシュグルー)の初登場作品。作者の3作目に当たる。買うだけ買って放っていたのは、チャンドラー系列のハードボイルドが苦手ということもあるが、訳が小泉喜美子というところも大きかったかもしれない(苦笑)。いや、翻訳家としての小泉喜美子はすごいと思うのだが、どうも好みの問題としてなあ……。
キャラクターとしてのスルーもいいし、トラハーンも面白い。ブルドッグのファイアボール・ロバーツなんか最高。ただねえ、どことなく気障でウィットに富んだ会話というのがどうも肌に合わなくて……。女優に憧れて家出したベティ・スーなんて自業自得という気しか起きないし。
アメリカでは文学として評価されているとのことだが、それは分かる気がする。ただ、この頃のアメリカの風俗が自分には合わない、それだけのことなのだろう。ベトナム戦争の傷跡が残る人たちと、退廃的なセックスがあふれている70年代に。