平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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小酒井不木『殺人論』(国書刊行会)

人はなぜ<殺人>に見せられるのか――医学博士、探偵作家にして犯罪学の権威、小酒井不木が、原始人類における殺人から説きおこし、多くの実例をひきながら、その歴史的、文学的、心理的、法医学的側面を縦横に論じつくした、犯罪学研究の金字塔「殺人論」。古代エジプト・ローマから西欧近代、本邦毒殺史まで、古今東西の毒に関する薀蓄を傾けた名エッセイ「毒及び毒殺の研究」。実在の名探偵たちの活躍を描いた「西洋探偵譚」(抄)に、西欧古代・中世の奇怪な風習、捜査・裁判法を紹介したエッセイ「錬金術」「古代の裁判探偵法」「西洋中世の拷問」「動物裁判」「屍体刑罰」を併録。(粗筋妖怪より引用)

1991年10月刊行。



【目次】

殺人論(抄)

西洋探偵譚(抄)

毒および毒殺の研究

錬金術

古代の裁判探偵法

西洋中世の拷問

動物裁判

屍体刑罰



1991年に国書刊行会で編まれたCRIME BOOKSの1冊。

何といっても大正時代に書かれた「論」である。当然今の時代とは進歩具合が違うし、歴史的事実の解明度も異なる。今ではありえないような偏見、科学的見地の異なりもある。それらの事実を踏まえ、読むのが正しい。あくまで当時の見解を知るには勉強になるし、今ではあまり触れられることのない事件などもある。そういう意味では楽しかったが、まあ、それ以上を求めるのは非常につらい。