- 作者: 倉知淳
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/09/06
- メディア: 新書
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『メフィスト』掲載の短編5本に、書下ろし1本を加え、2005年9月、刊行。
新進イラストレーターのベランダに毎朝ペットボトルが置かれる。中に入っているのはただの水。「水のそとの何か」。
友人が交通事故に遭った場所へ来た大西。そこに複数の会社のタクシーが、鈴木という客を送迎に来たと何台も現れて。「とむらい自動車」。
幼馴染の真美に誘われ、虐待されている猫を救出することになった幸太。そこの館では、複数のネコのうちたった一匹だけが虐待されているという。「子ねこを救え」。
スナックの常連である支部長に誘われ、全日本スイカ割り愛好会の大会を手伝うことになった新井。支部長と飲み物を買いに行って砂浜に帰ってくると、テントの中にあったスイカ15個のうち7個が割られていた。「な、なつのこ」。
恐るべき大食いの早苗と、その友人明日香。今日はステーキ屋で食べたいと、5kgのお肉に挑戦。ところが早苗は肉を目の前にして、いきなり店の外に飛び出してしまった。「魚か肉か食い物」。
一人で残業をしている部屋に、電話が次々と掛かってくる。目的は何か。「夜の猫丸」。
作者のデビュー作から続く猫丸先輩シリーズ。今のところ、これが最新刊かな。相変わらず寡作というか、仕事をしないというか。
不思議な日常の現象に猫丸が推理するのだが、はっきり言って推理ではなく、タイトルにある通り「空論」である。まあ、つじつま合わせの推理が妙に説得力あるところが楽しいので、合っているかどうかなんてどうでもいい。ユーモアとして楽しめれば、それでいい。
イラストの猫丸は妙に可愛いが、実際の猫丸は結構ブラック。どうやって生きているのかわからないが、作者はこういう風に生きたかったんじゃないかなと思ってしまう。