平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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藤子・F・不二雄『みきおとミキオ』(小学館 藤子・F・不二雄大全集)

藤子・F・不二雄大全集第2期第8回配本の一冊。『小学四年生』および『小学五年生』1974年5月号〜1975年3月掲載、1974年のみきおと2074年のミキオが偶然発見したタイムトンネルを使って入れ替わりを楽しむ「みきおとミキオ」、『小学二年生』『小学三年生』『小学四年生』1976年6月号〜1976年12月号掲載、宇宙からやってきた犬のバウバウと猫のミウミウは、実はアマンガワ星の大臣及び女官の生まれ変わり!、そして地球の住む小学生の星野大二は王国の王子の生まれ変わりだと告げる「バウバウ大臣」の二本を収録。
藤子F作品でも隠れた人気のある『みきおとミキオ』であるが、個人的にはそれほど評価していない。過去と未来の人物が入れ替わるという設定は面白いのだが、視点はみきおに偏っており、ミキオ側の描写が今一つな点があげられる。未来と過去のギャップを、過去の人間だけではなく未来の人間からも描いてほしかった。作者が途中で終わらせてしまったのかもしれないが、中途半端な終わり方も残念。設定にアイディアがついていかなかったのだろうか。どうせなら常に入れ替わることができるのではなく、しばらく元に戻ることができなかった、という設定でもよかったのではないだろうか。それだと学習雑誌の傾向と合わないか。
『バウバウ大臣』はFFランドで初めてまとめられた作品。今回は初めて全話が収録されたのだが、各誌の内容が似たり寄ったりなのはちょっと残念。バウバウとミウミウのデザインや性格も今一つ可愛げがないし、どこか着地点に苦心している姿が見受けられる。
両方とも『ドラえもん』と同時連載されていたわけなのだが、同じ同時連載の『バケルくん』と比べて仕上がりが今一つなのはなぜなのだろうか。まあ、どんな作者だって常に面白い作品を描き続けられるわけではないのだから、仕方がないのかもしれないが。ただ、『みきおとミキオ』なんかは、藤子Fが好きそうなテーマだと思うので、地味にまとまってしまったのはもったいないと思う。