平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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藤子・F・不二雄『ドラえもん』第12巻(小学館 藤子・F・不二雄大全集)

藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん (12)

藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん (12)

藤子・F・不二雄大全集第2期第8回配本の一冊。1972年度生まれ編の全73作品収録。今回は『小学三年生』1981年4月号に2編収録されているため、1編多い。思い出の大事さを教えてくれる「ココロコロン」、皮肉な結末が印象深い「おそるべき正義ロープ」、ほのぼの作品「雪だるまのぬいぐるみを作ろう!」、ドラミ登場とドラえもんの存在理由を改めて知らしめた名作「ションボリ、ドラえもん」、同じくドラミ登場「ハツメイカーで大発明」、のび太の意外なアイディアマンぶりを見せた「「ワ」の字で空をいく」、戦いのむなしさをギャグ漫画で教えてくれる「ペンシル・ミサイルと自動仕返しレーダー」、民話と現代文明の意外な組み合わせを描いた「天つき地蔵」、ジャイアンスネ夫の変貌ぶりが楽しめる「ホンワカキャップ」、76年前のご先祖様のお話「ハリーのしっぽ」などを収録。
「かんしゃく紙」で「野比さんとこのへんなロボット」と書かれているように、すでに“ドラえもん”という非日常の存在がすでに日常となった時代の作品であるため、改めてドラえもん世界とはなんだろうと再構成された作品が目立つ。ママの存在の大きさについて改めて描かれた「ママをたずねて三千キロじょう」「グルメテーブルかけ」「のび太のなが〜い家出」や、今までの登場人物の性格を念頭に置いて新たなアイディアを付加した「ホンワカキャップ」「ぐ〜たらお正月セット」「ジャイアン殺人事件」など、単に秘密道具だけで話を作るのではなく、それぞれの登場人物に視点を向けた作品が目立ってくるようになる。
解説はCGクリエーターの楠部工。実は「ドラえもん絵描き歌」「ドラえもんのうた」の作詞者。妹二人も「ドラミちゃん絵描き歌」「パーマン絵描き歌」の作詩をしているというのは、当時のトリビアだったような気がする。