平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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藤子・F・不二雄『ウメ星デンカ』第1巻(小学館 藤子・F・不二雄大全集)

藤子・F・不二雄大全集 ウメ星デンカ (1)

藤子・F・不二雄大全集 ウメ星デンカ (1)

藤子・F・不二雄大全集第3期第2回配本の一冊。故郷のウメ星が爆発し、地球に逃れてきた王さま、妃、デンカ。宇宙船にもなっているカメを拾った中村太郎宅に住むこととはなったが、宇宙人と地球人とのギャップは大きく、さらに能天気で個性的な王さま一家に、中村家は振り回されてばかり。さらに侍従ベニショーガまで加わっての大騒ぎな毎日。『小学二年生』1968年9月号〜1970年3月号掲載分、『小学三年生』1968年9月号〜1969年3月号分を掲載。
1969年にTBS系でモノクロアニメ化されたSFギャグ作品。テレビアニメにもなった作品なのに、知名度や評価がかなり低いと思われる作品。まあ、ウメ星の王さま、お妃、デンカが地球の普通の家庭に混じって生活するという設定の割に、今ひとつ弾けた面白さがなかったのは事実。特に王さまや妃の動きが今一つ。ベニショーガの追加は、動かせるキャラクターのテコ入れだったんだと思われる。そもそも、普通の家庭に4人も居候してやっていけるんだろうかという疑問点が、子供にも通じたんじゃないだろうか。ウメ星の不思議な機械に、ドラえもんひみつ道具とつながるものがある点は面白いのだが、そういった藤子F研究の点を除くと、この作品に魅力は感じられない。オバQとは違ったものを出そうという苦労が滲み出てきていて、どことなく空回りしているのだ。
まあ、しのだひでおバージョンによる最終回など、単行本未収録回を多く収録してくれている点は嬉しい。
解説は声優の杉山佳寿子コロ助やハイジ、003などで有名な方だが、本作のデンカが初主演作だったとのこと。