藤子・F・不二雄大全集第5回配本の1冊。宇宙人からもらった人形の鼻を押すと、人形と入れ替わってしまうという日常SFギャグ作品。単行本未収録を含む全53作品が1冊にまとまった。設定としては面白いのだが、人形に入れ替わってしまうとどんな人物にでも慣れてしまうという手軽さがかえって話の広がりを妨げてしまったような気もする。心が一つしかないから、複数の体でも同じ動きをしてしまうという弱点もすぐに克服されてしまうのも、便利さが増すだけで結局マイナスだったと思う。父親はいくらでもお金が出てくる財布を持っているし、何もかも便利すぎた。元の人格であるカワルではもてなく、人形であるはずのバケルだともててしまうという複雑さをもう少し前面に押し出してもよかった。藤子F作品の
てんとう虫コミックス収録作品で、この作品だけがアニメ化も文庫化もされなかったのは、やっぱり人気がなかったのだろうか。それとも作者が満足できなかったのだろうか。
とはいえ、
ぴっかぴかコミックスでは5冊も出ているから違うかな。