平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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横山秀夫『震度0』(朝日文庫)

震度0 (朝日文庫 よ 15-1)

震度0 (朝日文庫 よ 15-1)

阪神大震災の前日、N県警本部警務課長・不破義人が姿を消した。県警の内部事情に通じ、人望も厚い不破が、なぜいなくなったのか? 本部長をはじめ、キャリア組、準キャリア組、叩き上げ、それぞれの県警幹部たちの思惑が複雑に交差する……。組織と個人の本質を鋭くえぐる本格警察サスペンス!(粗筋紹介より引用)

2005年7月、朝日新聞社より単行本刊行。2008年4月、文庫化。



キャリア、準キャリア、叩き上げ出身の県警幹部たちが、警務課長失踪に伴う思惑と政治ゲームを描いた一冊。阪神大震災で西の方では右往左往しているのに、こいつらはいったい何をやっているんだと言いたくなるぐらい、不愉快な登場人物群。まあ、権力を握ろうとする人たちは、だいたいが醜いところがあるものだが、ここまで露骨に描かれてもちょっとと思ってしまう。そもそも非常事態なんだから、そんなパワーゲームのことはさておき、警察官として少しは動きそうなものだが。

なんというか、ここまで醜く書かなくてもと思うし、展開があまりにもスローモー。感情移入できる登場人物が誰もいないし、読んでいて不愉快になる。うーん、作者が何を書きたかったのか、よくわからなかった一冊。