平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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石崎幸二『鏡の城の美女』(講談社ノベルス)

大手美容チェーンで起こった3D身体データ盗難事件。データを盗まれた女性が次々と通り魔に襲われて、遂に殺人事件まで発生してしまう! 櫻藍女子学院高校ミステリィ研の仁美もデータを盗まれた一人。ターゲットになる可能性は高い。ミリア&ユリと顧問の石崎は、仁美と共にエステグループの総本山・不銹城へ向かう。そこには犯人の最終目標と噂される美女、鏡子がいた。彼女は七枚の堅牢な扉の奥で犯人を迎え撃つと言うのだが…!?(粗筋紹介より引用)

2013年11月、書き下ろし刊行。



女子高生シリーズも10作目。なんだかんだと続いているのだが、1作も文庫化されていない。人気があるのかないのか、さっぱりわからないが、とりあえず読み続けている。

いつものようにミリア&ユリがぐだぐだし、仁美が狙われ、石崎がぼけてミスり、事件を解決したはいいが斎藤瞳刑事にビンタを食らうというおなじみのパターンは今回も健在。それにしても、事件現場より前に斉藤刑事と遭遇したら人が死ぬとか、幾つかのパターンを逆手に取ったようなメタな展開はどうなんだろうと思うのだが、これも一つの味なんだろう。

登場人物が少ないので、ミステリ慣れした人なら事件の謎自体は解くことができるだろう。作者もそんなことは百も承知で、今回の目玉は外から開けることができるけれど、中から出られない密室の話。作り物であることを逆手に取ったような舞台設定とストーリーだが、これは単純にどのように解けるかを楽しめばいいのだろう。

リアリティなど欠片もないが、謎と推理と笑えないボケとお約束な展開を楽しむ作品なので、それもまたよしかな。