- 作者: 山田風太郎,高木彬光
- 出版社/メーカー: 出版芸術社
- 発売日: 2000/04
- メディア: 単行本
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『講談倶楽部』1951年10月号〜1952年9月号まで連載。1955年1月、東京文藝社よりハードカバー刊行。1956年2月、1964年8月に再刊後、長らく絶版だった作品が2000年3月に復刊。荊木歓喜と神津恭介が競演した幻の作品。
名前のみ有名で、ある意味幻と化していたが、2000年に出版芸術社から出たときは、何はなくとも、といった勢いで購入したのだが、何となく読むのをためらっていた作品。というのも、荊木ものを面白く読んだ記憶が無い。言ってしまえば肌が合わない。アイディアが高木、執筆が山田となればさらに不安感は高まる。しかしそろそろ読もうかと思って手に取ってみたけれど、やっぱり今一つだった。
戦争の傷跡が残る時代とはいえ、胡散臭い人物がてんこ盛りに出てきて、しかもそれぞれが物語に密接に絡んでいるのだから質が悪い。スピーディーというかドタバタしすぎているというか、立て続けに殺人が起きる月刊誌連載ならではの展開の速さは活劇スリラーならいいのかも知れないが、本格ミステリを期待していた方からしたらマイナスと思える。最後には全ての謎が収束する展開にはなっているものの、結末の神津の言葉が言い表しているように、二人がそろっていてこんな終わり方なの?と愚痴を言いたくなった。
山田風太郎のアクの強さが好みでない人にとっては、今一つとしか言い様がない作品。幻のままで良かった、とは思わないけれど、長く出版されなかった理由は当時の読者に受け容れられないだけだったんじゃないかとも思ってしまった。