平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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ルース・レンデル『荒野の絞首人』(角川文庫)

荒野の絞首人 (角川文庫 (6089))

荒野の絞首人 (角川文庫 (6089))

風に伏しなびく苔桃やヒースの茂み。刻々と移りかわる空を背に黒くそびえたつドルメン岩。靄のヴェールをかぶった小高い山々。この荒涼たる原野(ムーア)がスティーヴンの恋人だった。彼こそがこの土地の君主なのだ。幼い頃から山に登り、廃坑の坑道を探検し、彼は原野の隅々まで知りつくしていた。

その荒野で起きた異常な殺人事件、それに最初に気づいたのもスティーヴンだった。金髪を丸坊主に刈りとられた若い女の死体を見つけたのだ。彼の原野を侵す何者かが現れた……。

やがて発見された第二の死体も、金色の髪を刈りとられていた。そしてスティーヴンは、見棄てられた坑道の奥に奇妙なものを見つけたのだが……。(粗筋紹介より引用)

1982年作品。1985年翻訳。



例によってダンボールの奥底にあった一冊。『わが目の悪魔』や『ロウフィールド館の惨劇』はそれなりに面白く読んだ記憶があった(どちらかと言えば前者が好き)し、この作品も評判になったよななどと昔を思い出しながら読んでみたのだが、がっくり。うーん、出来云々じゃなくて、肌に合わない。訳したのが、私の嫌いな小泉喜美子だからか(すごい偏見)。

狂気という下り坂をゆっくりゆっくり転がり落ちていく作品なのだが、なんなの、この退屈さは。たぶんね、この作品はじっくりねっとり読むのがベストだと思うのだが、自分にそんな余裕がないことも原因かな。まどろっこしくて耐えられない。荒野という舞台が読んでいる自分の心をも荒らしているようだ。それもじわりじわりと。英国サスペンスってこういうところがあるよね、たぶん。

精神状態が落ち着いているときにしかおすすめしません。それもこういう心理サスペンスが好きな人だけ。