- 作者: パーシヴァルワイルド,Percival Wilde,越前敏弥
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2008/02
- メディア: 文庫
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1940年に書かれ、日本には1951年に初めて紹介された作品の新訳版。
乱歩の随筆によく挙げられていながら、中々手に取ることができなかった作品群の中でも、上位に挙がるであろう一冊。持っていたような気がしつつも買ったのだが、持っていたのは『ベラミ裁判』の方だった(苦笑)。
せっかくの新訳が出たということで期待して読んでみたのだが、苦手な系列の方の作品だった。この手のそこはかとなく漂ってくるユーモアというのが、自分にはどうも理解できないのだ。事件に関係がないような話まで延々としゃべる登場人物に辟易しながら苦労して読み続けていったら、終わってみるとあれが伏線だったのねと驚く結果に。解説にも書かれていたが、確かにこれは再読が必要な長編である。
とはいえ、個人的にはそれほど感心しなかった。原文はどうだかわからないが、いかにも劇作家が書きそうな小説であり、作品のリズムがどうも戯曲に近い感じがする。それが自分には合わないのかもしれない。再読すればもっと違った評価があるのだとは思うが。
この作品を正しく評価するのなら、最低二回は読んだ方がいい。一回しか読んでいない自分には、この作品について語る資格はないのだろう。