平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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大阪ゲラゲラ学会編『もうひとつの上方演芸』(たちばな出版)

もうひとつの上方演芸―吉本以外のタレント名鑑付

もうひとつの上方演芸―吉本以外のタレント名鑑付

ダウンタウン、ナイナイ、てんその成功――。本書は、吉本が席捲する大阪演芸会にかつを入れるべく、昨今の吉本ブームに隠れがちな大阪芸人にスポットをあて実地取材のもと、問題提起した。吉本にうんざりした演芸ファンに贈る、お笑い虎の巻!(帯より引用)



いわゆる吉本以外の大阪芸人にスポットを当てた一冊。大阪ゲラゲラ学会を主催するのは、元ベジタブルの右尾祐佑である。ベジタブルは「テレビ演芸」で5週勝ち抜いたが、最後はピンクの電話に破れている。島朗の『将棋界がわかる本』もプロデュースしたから、お笑いファンばかりでなく、将棋ファンでも知っている人がいるかと思う。

第1章は「もうひとつの上方演芸」と題して、今は亡き「浪速座」のレポートから、高石太、古川一郎・二三子、横山たかし・ひろし若井ぼん酒井くにお・とおる、パート2へのインタビュー、そして浪曲あれこれ、講談あれこれと題して浪曲や講談の現状を考察している。この章で一番面白いのは、好田タクトが吉本〜フリー時代のギャラをあれこれ紹介したものである。若手芸人の悲惨さがよく出ている。この好田タクト、日本で唯一の「指揮者のものまね」で有名である。

第2章は「在阪プロダクションの新人発掘」と題して、松竹芸能ケーエープロダクション大滝エージェンシー、ザ・ニュースを紹介している。

続いて載っているのは、吉本以外のタレント名鑑。これが圧巻。大御所から若手まで、漫才、コント、ピン芸、落語、講談、浪曲などよくぞこれだけ集めたものだと感心してしまう。これだけでも徹夜する価値有り。

本書の初版は1997年。すでに10年が経っている。タレント名鑑のなかには、既に消えてしまった人たちも多い。吉本はどんどん肥大化していくが、松竹はなんとか頑張っている。できればここらで、改訂版を出してもらえないだろうか。

個人的には、ポッキー掛布がまだ現役なのか確かめてみたい(笑)。最近まで、ローカルCMに出ていたようなのだが……。