- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/01
- メディア: 単行本
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年譜や自作解説などを読むと、読者と作者の間、そして作者と書評家の間って大きな溝があるんだなと感じてしまう。作者の自信作がまったく評価されなかったり、軽い気持で書いた作品が評判になったり。まあ、全てが作者の思い通りに事が進んだら、全ての作品がベストセラーになるわけなんだが。
このエッセイを読むと、どこか客観的で冷めた視線で自分を見つめている東野圭吾がうっすらと見えてくる。文学賞に落選してがっかりしているのは確かだろう。受賞して喜んでいるのも確かだろう。編集者や仲間たちから祝福されて喜んでいるのも真実だろう。それでもどこか、遠くから自分を見つめているのが東野圭吾という人物のように思えるし、だからこそあれだけの作品が書けるんだろうと思ってしまう。
自作解説以外にも、収録されたエッセイはどれも面白い。本人はタイトル通り、これが最後のエッセイ集だと書いているが、何とも勿体ない話だ。