平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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大藪春彦『輪殺(まわし)の掟』(角川文庫)

輪殺の掟 (角川文庫 緑 362-54)

輪殺の掟 (角川文庫 緑 362-54)

ヤクザの縄張り争い激しい関西のある歓楽街にあらわれた三人の凄い男たち。荒削りだが彫りの深い顔の男、津場。クールでハンサムな男、本城。陽気な感じの岩下。みな、銃、車、そして殺しのテクニックと、どれをとっても超一流の奴らだ。

男たちの胸に秘めたある野望――それはこの歓楽街に寄生するヤクザ集団を恐怖のどん底におとしいれた!

死を恐れぬ三人のスーパー・プロフェッショナルたちのすさまじい武闘――アクション小説の極み。“掟シリーズ”第七弾。(粗筋紹介より引用)



“掟シリーズ”の一冊だが、この“掟シリーズ”は単にタイトルが「○○の掟」となっているだけで、主人公が統一されているわけでもないし、何らかのテーマを持ち合わせているわけでもない。よくわからないシリーズではある。

舞台は志賀県湖南市。知事や市長、警察本部長をも支配下に置く山田建設の山田社長が抱えている暴力団淡海会と、日本有数のトルコ街である湖南市を手中に収めたい全国組織野崎組の争いに加味しながら大金を奪い取っていく三人の活躍は爽快だ。しかしここまで彼らにしてやられる暴力団や警察、それに山田社長などはただのバカではないかと本気で思ってしまう。それぐらい間抜けな行動を取っており、三人のことなど全く疑いもしない。そこが気に入らないといえば気に入らないが、エンターテイメントとして割り切った方がいいのかも。

田口首相や三本内閣、福本などお馴染みの政界の面子は、今回はあくまで名前だけの登場。権力者の僕たちが、権力者の闘争に応じて態度をあっちこっちに変える姿は間抜けそのもの。まあ政治家なんてそんなものなんでしょう。ところで何で舞台は志賀県なんだろう?