- 作者: 岡山ペンクラブ
- 出版社/メーカー: 吉備人出版
- 発売日: 2005/12/20
- メディア: 単行本
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第二弾もまた、いろいろな分野で岡山県人を論じたユニークな作品集となっている。中国銀行を築いた銀行マン守分十、日中交流に尽力した文化人吉備真備や雪舟・犬養木堂他、津山の洋学者宇田川玄真など日本の近代化をリードした岡山ゆかりの洋学者たちなどが紹介されている。
今回ここで取り上げたのは、「第六章 探偵小説から県民性を推理する(やこ無理じゃろ?)」を紹介したいからである。執筆者は青山融。岡山弁研究の第一人者で、『岡山弁JAGA!』(アス)などの著作がある。全国のテレビで出演したことがあるほか、地元ではテレビ・ラジオのレギュラーを持ったこともあり、岡山弁の講座も各地で開いている。そして、ミステリ好きとしても知られている。
とはいえ、いくら何でも探偵小説から県民性を推理するなんて無謀すぎる。本人もそのことは十分に承知しており、だからカッコ書きで「やこ無理じゃろ?」と逃げを打っている。ちなみに「やこ」とは「〜なんか・〜なんて」という意味の岡山弁の助詞である。
そしていきなり登場するのは『サユリ・マイ・ミステリー』。おいおい、と思う人も多いだろうが、それは読んでみてのお楽しみ。そして岡山県内を舞台にしたミステリの紹介が続く。トラベルミステリー流行のおかげで、殺人事件が起きるようになったが、岡山も例外ではなく、様々な場所が舞台となっている。岡山県内に移り住むまでは、岡山が舞台かどうかなどと気にしたことがなかったため、意外な作品が岡山を舞台にしていることに結構驚く。戦前を代表する翻訳家延原謙と妹尾アキ夫が津山出身だとは知らなかった。水車館が岡山県にあるというのも覚えていなかった。
そして最後に辿り着くのは、当然横溝正史。そして横溝正史疎開時代のエピソード、さらに舞台紹介へと続く。そして最後に執筆者が辿り着いた結論とは……、たったこれだけかい(笑)。これも一つのどんでん返しか。
はい、最後は笑わせてもらいました。
これ、全国の本屋でも買うことができるのかな? こういう視点でミステリと県民性を論じるのって、面白いですよ。他の県でも、誰か書いてくれないかな。