- 作者: 佐久間哲
- 出版社/メーカー: 自由国民社
- 発売日: 2005/11
- メディア: 単行本
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取り扱われている死刑囚は、それぞれテーマに沿って書かれている。早期執行、不公正裁判、少年死刑囚、再審無罪、再審請求中の執行、被害者遺族との交流、拘禁性精神障害、上告取り下げ、償い、恩赦、獄中訴訟、女性死刑囚、法務大臣、獄中死、再審開始、大量殺人、外国人死刑囚、部分冤罪、再犯、獄中短歌である。この中には『戦後死刑囚列伝』と同一テーマ、同一死刑囚を取り扱ったものもあるが、新しいテーマもあるので、比べてみるのも面白いだろう。
本書の圧巻は、巻末の「死刑確定事件リスト」。1947年3月以降における死刑確定事件のリストが載っている。罪名と事件概要程度しか載っていないが、よくぞここまで調べたと思う。笑月さんには敵わないだろうが。
死刑囚は拘置所という大きな壁が存在し、周りの人もそっとしてほしいという感情があるため、取材はとても難しいものと思われる。平成の今になって、このようなテーマに取り組んだ筆者の意気込みを買いたい。
ただ、「あとがき」に書かれていることは、本書の内容とほとんど関係ない。様々な死刑囚を通して見るということだけでは、死刑という問題に直面する機会には成り得ないと思われる。
著者の佐久間哲はフリージャーナリスト。『恐るべき証人−東大法医学教室の事件簿』(悠飛社)、『魔力DNA鑑定』などの著書がある。