平穏無事な日々を漂う〜漂泊旦那の日記〜

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犯罪の世界を漂う

「死刑に関するニュース」に6件追加。
「死刑・犯罪文献を考察する」に本の感想を追加。
「ノンフィクションで見る戦後犯罪史」に事件概要、本の感想を追加。
免田事件の元死刑囚で、再審無罪を勝ち取った免田栄さんが、国民年金をもらうことができないと人権救済申し立てをしていたのは、かなり話題になったので覚えていた。財田川事件で同じく再審無罪を勝ち取り、昨年亡くなった谷口繁義さんも、無年金状態だった。松山事件で無罪になった斎藤幸夫さん、島田事件で無罪になった赤堀政夫さんも同様だろう。
厚生労働省は、「納付の要件を満たしていない」の一言で、彼らの要求を切り捨てている。1959年に始まった国民年金制度だが、それ以前に死刑判決を受けていた彼らが加入するわけがない。免田さんによると、そもそも制度のことすら教えてもらっていないという。拘置所側は否定しているが、これは免田さんの方が正しいだろう。いずれ死ぬとわかっている死刑確定囚に、年金制度を説明するだけ無駄なのは誰でもわかる。説明や加入の手間を省いたのだろう。
レアなケースかもしれないが、こういう問題こそ、人権屋はフォローし、活発に動くべきだと思う(それなりに動いてはいるんでしょうけれど)。


もう一つ気になった記事は、無罪を訴えながら1992年に執行された元死刑囚のDNA鑑定の結果が出たこと。殺害現場に残された精液は、元死刑囚と一致したという。元死刑囚は、執行直前に「今夜、無実の男が殺されようとしている。私の無実が証明された時、米国は死刑制度の誤りを思い知るだろう」との声明を読み上げた。
彼が犯人であることは99%間違いないと思われるが、いったい彼はどのような気持ちで声明を読み上げたのだろう。自分は無実であるという刷り込みが、脳内でされていたのだろうか。それとも自分を冤罪のヒーローに仕立て上げようとしていただけだったのか。執行された彼からの、答えはない。
日本でも無実を訴えたまま執行もしくは獄死となったケースがあるが、彼らは本当に無実だったのか。それとも、無実であると言い聞かせていただけなのか。足掻いていただけなのか。